上高地は、僕にとって聖地の1つだ。およそ30年前、父と母は上高地で出会い、恋に落ち、そして愛を育むことになった。今の我が家の始点を求めると、それは上高地なのだ。
そんな上高地にずっと行きたいと思っていた。どうやら幼稚園の頃に両親が1度連れて行ってくれたようだけれどほとんど記憶になく、以降は、東京から遠いことやマイカー規制が設けられていること等々が理由で、なかなか訪れる機会がなかった。
10月の3連休、全日東京を空けることは仕事上できないまでも、久しぶりに自然に触れたくてそんな上高地を訪ねることにした。7日23時新宿出発、8日5時上高地到着、16時まで滞在し、その日夜に東京に戻るというJTBのバスパッケージツアーを利用。
天気予報は快晴で、意気揚々としてバスの中で眠りに落ちたのに、上高地に近付くと雨が降っていた。せっかくの上高地なのに、天気が悪いと北アルプスの山々が見えない。ただただ晴れることを祈ってバスを降りた。上高地バスターミナルは登山客で溢れていて、みんな雨の中続々と目的地に向かって出発していく。僕たちも、雨があがるまで待つべきかどうか迷ったけれど、滞在時間が短いことも考えて、レインコートを買って歩き出すことを決意。今回は徳沢まで歩いてみることにした。本当は紅葉が最高に美しいと評判の涸沢まで足を伸ばしたかったけれど、時間が足りないから仕方がない。
雨は一向に止む気配がなく、徳沢までの道のりはただただ冷たく、寒く、暗かった。徳沢に着いたのが8時前。太陽もまだ低く、景色なんて全く楽しめなかった。徳沢に立つ宿「徳沢園」で1時間程度休憩。暖をとりながら、運が悪いなと思っていた。
9時を過ぎると少し周りが明るくなり、引き返すことにした。雨は降り続いているけれど、ようやく少しずつ天気が好転していることが分かった。時々は光も射し込む。そんな中ふと顔を上げると、美しい光景が目に飛び込んできた。アルプスをバックに梓川の上に2本虹が掛かっている。雨の日ならではのシーンだろうけれど、この日初めて上高地を体験した気がした。
明神池に着いた頃には雨は大分弱まっていた。明神池は幽遠なムードを漂わせている。水は澄み切って岩魚の姿も見られ、汚れのない自然とはまさにこういうものなのだろうと思った。池を取り囲む林の一部が赤く色づき始めていて、美しさに彩りを添えていた。
途中、川、森、湿原の景色を楽しみながら明神池から河童橋に戻り、昼食をとった後には温泉に入った。何気にこの日は結構歩いていて、歩行距離15km。寒かったこともあって、疲れを癒す温泉はまさに夢見心地だった。
温泉を出ると、突然雨があがって眼前の空が澄み切り、この日1番の景色に出会えた。真っ青な空の下、梓川の向こうに六百山、三本槍、霞沢岳が立ち誇る。これこそが上高地。山頂に雪化粧、山腹に紅葉を従えた素晴らしい山容に見入った。
こうして最後に大いに満足して、16時に上高地を出発。最初は辛かったけれど、やっぱり来て良かったと思った。充実した1日だった。
こんな大自然の中で出会ったなんてロマンチックだなと思って、少し両親が羨ましくなった。日本でも有数の美しい場所だろう。観光地として名高いけれど、それだけのことはある。次回は是非快晴の日に、もし可能であれば涸沢までチャレンジしたい。
なんかロマンチックですね。
両親のであった場所を訪れるなんて☆
誰と上高地いかれたんですか?(笑)
投稿情報: erica | 2006-10-12 21:00
いつもハードスケジュールで旅してますね~
雨は残念だったけど、かなり癒されたのでは??
2本の虹も雨ならではだし、良く考えればラッキー☆
両親に引き続き運命の出会いしちゃいました??
投稿情報: アッコッコ | 2006-10-12 21:57
>erica
ロマンチックかー、そうかなあ?
でも何となく感慨深かった。
本当は仲間由紀恵さんと上高地に行きたかったのだけれど、無理でした。
>アッコッコ
確かに癒された!
やっぱり空気の美味しさが断然違う。
運命の女神は、相変わらず僕には微笑んでくれないようです。
投稿情報: Shibuya | 2006-10-14 11:38